火:【聴解】小さきものはみなうつくし #557


1、次の音声を聞きましょう。


2、スクリプトを見ながらもう一度音声を聞き、語彙を確認しましょう。

時間があれば、先生の話し方をまねながら、音読もしてみましょう。

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<スクリプト>

こんにちは、ちか先生です。

今日も一緒に、日本語や日本文化について考えていきましょう。

「小さきものはみなうつくし」という言葉、皆さんご存知でしょうか?

これはですね、平安時代の枕草子というエッセイですね、今でいう、それにね、書かれた一節なんですね。

この作者は、清少納言という女性なんですけれども、枕草子はね、とても有名なので、いろんな有名な言葉っていうのはあるんですけど。

今日はですね、この「小さきものはみなうつくし」という言葉から、日本の文化を考えてみたいと思います。

正確にはね、「何も何も、小さきものは、みなうつくし」これは古語なので、現代訳すると「小さいものは何でもかわいい」っていう意味なんですね。

枕草子は、いろんな章にわかれてるんですけど、一つの章では、小さいものは何でもかわいいよね、っていうことについて書いているんですね。

この枕草子が完成したのは、1001年と言われているので、今から1000年以上前から、小さくてかわいいものっていうのは、人気があったということなんですよ。

何でも日本の場合は、小さくする傾向がありますね。

家とかね、車とかが小さい、日本は、と言われますけれども、家はね、日本は土地が狭いからっていうのもあるんでしょうけど、そこまで大きい家を求めてもない、っていうこともあるかもしれないです。

車もね、道路が狭いっていうのもあるかもしれないけど、すごく大きい車に乗るんだったら、コンパクトカーの方がいいかな、っていう気持ちも結構ありますし。

実際すごくね、お金持ちになったとしても、大きい家に住んで大きい車に乗る、っていう感じでもないんですよね、日本の場合。

欧米と比べるから、日本が小さく感じるんじゃないかって思うかもしれないんですけど、お隣のね、韓国人からも、日本人は小さいものが好きって、よく言われてるんですよ。

韓国人がね、「縮み志向の日本人」っていうタイトルの本を書いたぐらい、日本人は何かを縮めるのが大好きだって言ってるんですね。

古くからあるもので、どういう小さいものがあるかというと、例えば日本庭園とかですね。

すごく大きい敷地を使って、庭を作るのではなく、限られたスペースの中で工夫して、いろいろな表現をしていく、っていうのが日本庭園ですし。

それから盆栽とかですよね、すごく小さいですよね、木としては。

あとは茶室、ほとんど四畳半ぐらいしかないので、すごく小さいところで、お茶を飲む。

お弁当もそうですよね、あの小さいお弁当の中で、半分ご飯にして、ご飯の上に何かかいて、おかずも入れて、デザートも入れてみたいな感じで、小さいところに工夫して詰めていくんですよね。

あとは俳句なんかもありますよね、文章をできる限り短くしながら、自分の気持ちを入れるみたいな。

こういうのが大好きなんですよね、よく考えてみると結構多いですね。

元々ね、日本人はこういう小さいもの好きなんですけれども、さらに物を小さくしようと拍車がかかったのが、旅のときらしいですね。

昔は、日本で旅をするときに、皆さんの国ではもしかしたら馬車とかね、使ってたかもしれないんですけど、日本ってね、ほとんど馬車が普及しなかったんですよ。

なんでかっていうと、やっぱり地形がね、山が多いていうのと、道路を作ろうと思っても、道路がそこまで幅がない、人が歩くので精いっぱい、っていう道路が張り巡らされていたので、自分で荷物を背負っていかなければならなかった。

だからね、昔の本でも、物をいかに軽くするかっていうことを、競って工夫したそうですね。

旅行のための荷物を、小さく縮める方法を見つけた人っていうのは、もう人からね、ヒーローみたいに称賛を浴びていたらしいですよ。

だから今もね、日本でYouTubeとか見たりするとわかると思うんですけど、旅行に行くときにどれだけ軽くするか、どれだけ荷物を小さくするか、再生回数がすごく多い動画になったりしてますね。

日本はね、雨が多いので、みんな折り畳み傘持ってるんですけど、毎日本当はカバンの中に入れておきたいんですよ。

でも、重かったらやっぱり持ちたくないじゃないですか、そうすると朝、傘持っていこうかな、持って行くのやめようかなってなって、雨が降ったときに傘を持ってないとがっかりっていうことが起こるんですけど。

それもね、日本のメーカーが工夫して、こんなに軽い、ほとんどペンケースぐらいしか重さのない折りたたみ傘を開発しました、みたいなので、折りたたみ傘の人気順っていうのは大体ね、軽い順なんですよね。

日本の本とか買ってもわかると思いますけど、文庫本っていうのがあるんですね、それは手のひらサイズのすごく小さい本なんですけど。

あのサイズも私、日本以外では見たことないですね。

日本でもハードカバーというのがあるんですが、ハードカバーと同じ内容のものが、1年後ぐらいに、文庫本になるんですね。

なんで文庫本になるかっていうと、持ち歩きしやすい、だから電車の中でもどこでも読むことができる。

皆さんにこの前お話しした、ちいかわっていうキャラクター、最近人気があるものも、なんでちいかわって言うかっていうと、「なんか小さくてかわいいやつ」の略でちいかわなんですよね。

プレゼントとかもそうなんですよ、大きいものをあげるより、なんか小さくてこだわりがあるものをあげた方が、意外と喜ばれるんですね。

なんていうのかな、センスがあるっていう感じがします。

ということで今日はですね、「何も何も、小さきものは、みなうつくし」というのが、1000年経っても、まだまだ日本人の心には受け継がれているというお話でした。

それでは今日も聞いていただいて、ありがとうございました。


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3、話の内容について、クイズに答えましょう。


4、宿題を出しましょう

今日の宿題:

小さきものはみなうつくし、に共感しますか。

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